
オートレースで使用するバイクは誰のものなの?
2輪車のバイクがレースを行う唯一の公営ギャンブルであるオートレース。
競馬や競輪、競艇(ボートレース)と比べると、思いっきりマイナーな競技です。
しかし、最高速度150キロは公営ギャンブルの中で最速。
また、爆音も魅力の1つです。
そんなオートレースでは、バイクや部品は選手が自費で購入しているのです。
因みに、競艇では主催者が所有するモーターやボートを選手がくじ引きの抽選で使用しています。

だったらオートレースも主催者が用意して抽選にしたらいいのに
勝敗を大きく左右するマシンです。
- 主催者のマシンをその都度抽選で決めるのか?
- 自分のマシンを整備して戦うのか?
どっちがいいのかは、ファンや選手によっても判断はわかれるところでしょう。
オートレースでは、教習所で選手にバイクが与えられてから、ずっと自分のバイクを整備しています。
そして教習所を卒業すると、部品も含めてバイクにかかる費用はすべて自費です。
正直な話、賞金を稼げる強い選手は新しい新車や高額な部品をどんどん購入できて、弱い選手はなかなか買い替えができません。

不公平じゃないの?
そう思う人も多いでしょう。
はい、確かに公平ではないのかもしれません。
しかし、バイクのエンジンや足回り・フレームやタイヤに至るまで、すべて整備できる範囲や購入する部品はしっかりとレギュレーションで定められています。
極端な話、お金持ちはハーレー、貧乏人は原付バイクといったことはもちろんありません。
稼げる選手の方が、より自己投資できる点は否定しませんが、厳格なレギュレーションの元に公正なレースが行われているのです。
また中には、整備をしっかりしたからといって、レースの判断材料にはあまり関係ないように思う人もいるかもしれません。
しかし、ある部品を交換することでマシンが劇的に変化することも多いです。
「自分のマシンの何が悪いから早く走れないのか?」
常に選手は今日のレースより明日早く走るように整備しています。
まさしく整備力は選手の成績に大いに関係している技術のひとつなのです。
整備事情を知ることで、整備のことを知らないよりも的中率ははるかに上がる可能性もあります。
選手の実力のひとつが整備力といわれるほど整備は大事な要素です。
この記事は、よくある選手情報のコメントの意味やオートレースの整備事情を中心に紹介しています。
オートレースが超初心者の人はこちらの記事が便利です。

オートレースの整備はすべて選手が自分でする


オートレースは、F1レースみたいに専用のメカニック担当がいるの?
結論からいうと、メカニックチームはおらずに、基本的に全ての整備を選手自身で行っています。
各オートレース場には、所属選手以外にもレースで参加する各選手一人ずつ整備できるロッカーがあります。
同じ整備グループや派閥同士が近くになっている場合が大半です。
※整備グループや派閥の意味については後述しています。
レース開催中はほぼ一日中過ごすので、奥を小部屋にしている選手が多く、選手により特色があります。
文字で説明するより動画のほうがわかりやすいと思います。
紹介するのは、飯塚オート選手会チャンネルのYouTubeで飯塚所属の滝下選手がロッカーの様子を詳しく紹介している動画です。
その他にも、どのレース場の選手のYouTube動画にも「選手のロッカー紹介の動画」は沢山あるので探してみてください。
選手は、その与えられているロッカーで、レース開催中ずっと、自分のマシンがより戦闘力を増すように朝から晩まで整備しているのです。
※正確には、2日前の整備日(前々検日)や前日の前検日も整備している選手が多いです。
因みに、レースで使用するバイクも、選手の自費で1台約200万円。
賞金を稼いでいるお金持ちの選手は、バイクを何台も所有してるほどです。
選手プロフィールには、現在所有しているバイクが掲載されています。
試しに、常に優勝候補筆頭の「青山周平」選手のプロフィールを見てみてください。
多くのバイクを所有しているのがお分かりいただけると思います。
また、出走表には今使っているバイクの名前も入っています。
バイクはそれぞれの選手が好きな名前を付けられます。
また、交換したいバイクの部品は、各レース場の部品部屋でしか購入できません。
部品も高額なものが多く、クランクケースなどは30万円ほどします。
新人選手には師匠やサポートする選手が必ず付く
もちろん、新人選手が最初から何も分からない状態でいきなり手探りで整備を自ら行うわけではありません。
選手が養成所を卒業して全国のレース場に配属されると、先輩レーサーがお師匠さんとして新人レーサーの面倒をみてくれます。
競艇漫画「モンキーターン」にも、主人公に頑固オヤジ風の師匠が登場しましたが、オートレースもあんな感じです。

養成所でもバイクの整備を習いますが、師匠による実践的な整備と練習方法の指導により、実際の過酷なレースに耐えうるバイクが完成されるのです。
面白いもので、レースに勝てる選手と整備が上手い選手、育成が上手な選手は必ずしも一致しません。
あの強い選手の弟子だからと期待したらパッとせず、連勝を重ねる新人の師匠は弱いあの選手なのか、ということも普通にありえます。
強い選手ほど整備力が高い
オートレースで成績上位者は、すべての選手が速さだけでなく整備力も持ち合わせています。
エンジンは好不調の波があります。
エンジンや調子やシャーシのバランスなどが良ければ、常に優勝争いに食い込むはずです。
しかし、不調時にいかに上手に整備し、エンジンの調子を整えるのかが重要なカギになります。
上位の選手は、開催が5日間あれば、4日目の準決勝や5日目の優勝戦に、今の気候や天気でのコンディションにあったエンジンに仕上げるのです。
ですから、初日や2日目にイマイチだった場合でも、準決までにはしっかり仕上げてくる選手が強い選手です。
例えば、競艇でも抽選でワーストモーターを引いたとしても、そこそこ仕上げてくる選手がいます。
そういったエンジンの整備力も、レースで勝つ重要な要素になります。
「整備グループ」や「派閥」がいくつも存在する
オートレースには師弟関係があります。
新人選手には、師匠という名の「指導員」と「指導員補助」が付き、オートレースのすべてのことを手取り足取り教えてくれます。
大ベテランは別ですが、どんな選手にも師匠がいるのです。
最初は師匠のグループの選手が面倒を見てれます。
その後は、そのままそのグループに参加する人もいれば別のグループに行く人もいるようです。
師匠と弟子というタテの繋がりだけではなく、同期や気の合う仲間と情報を交換しあうことも珍しくありません。
総称して「整備仲間」や「整備グループ」と呼ばれています。
別の言い方だと「派閥」や「ファミリー」とも。
この整備グループは、所属地域は関係なくつながっていることが多いです。
色々なパターンがあり、絆が強いグループもあれば、他と兼用しているような緩いグループもあります。

整備グループって公表されてるの?
整備グループは、選手のインタビューなどで時折グループの仲間を公表していたり、部屋割りなどでもわかったりします。
また、優勝時の記念撮影などで、同じグループや派閥が垣間見れます。
優勝した選手の後ろに写っているのが、同期や整備グループです。
例えば、川口所属の33期、黒川京介選手の優勝時の記念撮影を見てみましょう。

次は同じく川口所属の35期、佐藤励選手。
指をさしているのは師匠の阿部剛士選手です。

このように記念撮影をみると、整備グループがわかってきます。
また、大きなレースの優勝選手の記念撮影を紐解いてみると、この整備グループには他の地域も含めて色々な選手が参加しているのがわかります。
そういった目線で見るのも、オートレースを楽しむ1つではないでしょうか。
また、逆に数は少ないですが、一匹狼タイプもいます。
周りは皆ライバル。
世間の風に流されず結果も責任も全て自分が負う、とでもいわんばかりのストイックさです。
まあまあのベテランなのにしぶとく強い選手、元船橋の選手に一匹狼タイプが多い印象です。
グループや派閥を知っても、直接的に的中率や回収率が上がるわけではありません。
しかし、整備をして劇的に改善されたりする場合はそういったグループの手助けがあったりします。
ネタとして知っておいても損ではありません。
整備の選手情報のコメントで大事なポイントは?

オートレースのバイクのエンジンはスズキのセアです。
1級車用のAR600(599cc)と新人が1年間乗る2級車用のAR500(498cc)があります。
エンジンの特徴は、4ストローク並列2気筒4バルブでDOHCです。
Wikipediaによると、AR600の最高出力は60馬力(8000rpm)、最大トルクは6.2kgm(6000rpm)なのだとか。
出力やトルク以外にもバイクはパーツの塊です。
選手は教習所時代からエンジンをすべてバラシて組み立てる、分解整備のオーバーホールをやっているので選手全員ができます。
できないと卒業はできないです。
選手は定められたレギュレーションの範囲内で、エンジンのオーバーホールから下回りの調整まで自ら行うのです。
選手のコメントから整備内容を推測する

選手の勝ち上がりの途中でのインタビューの選手情報。
オートレースの場合は、選手情報に色々なヒントが隠されていることが多いです。
選手のインタビューでは、その選手の現在のマシンの状態や今後の予定や展望を聞くことができます。
例えば、選手情報インタビューで「大整備をする」というのは、エンジンをオーバーホールし分解整備したり、部品を大幅に交換することです。
今のままではレースに勝てない場合や、ずっと調子が悪い場合などに先を見て実施することが多いです。
「上回りの調整」とはシリンダーやピストン回り
「上回りを点検する」「リングを交換する」などというと、シリンダー内をバラシての確認やピストンリングの交換のことを指します。
エンジンのパワーが足りないときに調整する場合が多いです。
シリンダーヘッドは周りの部品も含めると20万円以上と高価ですが、交換すると劇的にパワーアップが望めるのだとか。
「下回りの調整」とはクランクなど駆動系
「下回りを調整する」とは、クランクシャフトやコンロッドなどのエンジンの駆動部分です。
エンジンの燃焼サイクルで生み出されたエネルギーを回転動力に変える一番大事パーツ群になります。
因みに、一番大事なエンジンの心臓部である、クランクケースやクランクシャフトは、係員が見ている禁断の部屋でしか交換できません。
クランクシャフトやクランクケースは、交換のみが可能になっています。
クランクケースなどを交換すると、「競走車の検査の要領」に定める検査に合格していることを証する封印がなされます。
値段も高額で、クランクシャフトが税込み17万円以上。
クランクケースは、ナント30万円以上します。
上で紹介した伊勢崎チャンネルによるとクランクは、規定内の重さ内での交換が可能なのだとか。
というのも全部同じ重さでないので、選手の好みがあるようで軽いほうが人気がそうです。
そんな下回りは、直線などタイヤに直接伝わる駆動系を強化したい場合に実施します。
クランクは高いだけあって交換するとすぐに結果としてあらわれることが多いです。

「キャブ調整」はエンジンの微調整
「キャブ調整をする」というのもよく聞くフレーズです。
キャブはキャブレターのこと。
キャブレターは、エンジンにガソリンに空気を混ぜ、霧状にしてシリンダーに噴霧する装置です。
噴霧する濃度を何種類かのノズルを交換しキャブ調整をします。
選手は、エンジンの音で調子の良し悪しを判断するそうです。
余談ですが、消音マフラーだとその音での判断が難しくなるのだとか。
筆者の個人的な意見ですが、キャブ調整は、エンジンは大方仕上がっていて状態なことが多い印象です。
何故なら、エンジンの調子は問題ないのであとはキャブレターの微調整で問題ないという感じに受け取れるからです。
「ドドド」は細かく跳ねる現象で原因は多岐にわたる
「ドドドがある」もよく聞きます。
ドドドとは、走行中にマシンに突然激しい上下振動が起こり操縦が困難になることです。
バイク用語だとチャタリングと近いかもしれません。
何が原因なのか、一概にはわからない追求が難しいトラブルです。
ドドドは、タイヤ交換ですぐに直る場合もありますし、エンジンやフレーム、タイヤを支えるフォークを調整したり交換しても中々直らない場合もあります。
人にもより全くならない選手もいれば、ずっとドドドに悩まされている選手もいます。
また、スタートなどはクラッチ調整が必要ですし、フレーム周りやタイヤなどバイクを早く走らせるにはトータル的な調整が必要です。
部品には当たりハズレがある
エンジンには多くの部品があることが分かったと思います。
しかし、交換したからといって必ずしも思ったようにエンジンの調子が向上するとは限りません。
中には逆に調子が悪くなることもあることも。
また、部品はそれぞれ作った製造日などによって当たりハズレがあるのだそうです。
当たりの部品は、上で説明したような整備グループや仲の良い同期などでその情報は共有されます。
また、お金持ちの選手は当たり部品をストックするなども…。
選手の整備情報は大局を掴むことが有益
これらの情報はバイク好きの方ならもっと詳しくと知りたいと思う人もいるでしょう。
しかし、レース予想という点では実はそこまで深く知る必要はありません。

いやいや、レース予想は細かい部品交換の把握が肝である。
私はそれで車券を的中させている。
…という方がもしいらしたらすみません。
それよりもむしろ、オーバーホールといった大仕事をするのはそもそもエンジンが不調だからだとか、逆に整備を全くしないのは好調の証だといった大局をつかむ方が有益です。
これに加えて、選手が毎日夜遅くまで整備をするタイプなのか、ほとんどしないタイプなのかのその選手の特性を掴むことで、選手の好不調が推測されるわけです。
なお、オートレース公式サイトのニュースには、飯塚ミッドナイトの整備情報で部品交換などが掲載されています。
消音マフラーは抽選制
川口オートレース場では市街地の騒音対策で、2015年からナイターでは消音マフラーを使用していました。
そして、防音壁や一部解体工事の影響で、現在は終日消音マフラーの使用となっています。
※この防音壁などの工事は予定では2025年末までとなっています。その後の予定はまだ発表されていません。
その後、飯塚や山陽の最終レースが深夜になるミッドナイトレースでも消音マフラーでのレースという流れです。
消音マフラーは自前ではなく、各競技場の持ち物で、大会ごとに抽選で選ばれます。
季節や天候にもよると思いますが、選手によっては合う合わないがあるようです。
こればかりは、運なので仕方ないですね。
また、上でも紹介しましたが選手は、エンジンの音でエンジン調整の判断をします。
毎回変わるマフラーだと、音で判断することが難しいのだそうです。
しかも毎回抽選制で、今回当たりの消音マフラーだったとしても番号もなく次回シャッフルされてしまうので、前回誰が使っていたマフラーなのかわからなくなるようです。
飯塚の25期「東小野正道」選手のブログには、画像付きで説明されていますので、興味がある人はどうぞ。

タイヤのコメントには重要なメッセージがあるかもしれない

先ほど細かい部品交換は深く知る必要はないといいました。
しかし一点だけ大事なポイントがあります。
それはズバリ、タイヤです。
どんなに凄いモンスターエンジンを積んでいても、グリップが効かないズル滑りのタイヤだったら勝負になりません。
毎レース新品のタイヤを使用して、レース終了後に交換するのなら分かりやすいですが、実際は新品タイヤを削ったり地面に当たりつけをしたりしてようやくレースで使用できます。
ちなみにやっとレースで使用できてもタイヤの寿命は4〜5レース程度。
晴れの良走路も雨の湿走路すべて同じメーカーの同じ型番(ダンロップKR-73S,3.00-20-4PR)の三角タイヤです。
選手はタイヤの減り具合によって晴れと雨のタイヤを使い分けます。
しかし、製造番号によっては当たりハズレがあったり、マシンとの相性などでレース後半も全く垂れずに進んでくれるタイヤが存在するそうです。
そんな最高に馴染んだタイヤを「勝負タイヤ」と呼びます。
主に4〜5日の開催期間の中、素直に初日からタイヤの寿命とともにレースを進めるのか、はたまた勝ち上がり予選の大事なポイントにタイヤのピークを持ってくるのか。
準決や優出がかかっている選手インタビューでは、大抵「明日のタイヤはどうしますか?」と質問しています。
そのタイヤのコメントを注目してみてください。
特に準決勝や決勝への結果が必要な勝負賭けの選手のコメントは注目です。
因みにタイヤの値段は1本7,000円ほど。
当然自己負担ですが多い選手で月に7本ほど使う人もいるようです。
伝説タイヤの製造番号「3311」
余談になりますが、以前「魔法のタイヤ」と称されるほど伝説になったタイヤがあります。
現在の「KR-73S」の前の「KR-73」時代に作られた製造番号が「3311」で2011年の第33週目に製造されたタイヤです。
「3311」のタイヤを付けた選手が軒並み優勝するほどでした。
選手の間でもすぐに話題になり「3311は抜かれる気がしない」などの圧倒的なパフォ-マンスを発揮し伝説化したのです。
噂では、これがきっかけで新しい現行のタイヤへ変更になったのだとか…。
特に真夏の熱走路では勝負タイヤの有無が重要
こちらの記事で説明した夏の熱走路。

真夏の熱走路は、走路が50度以上になり、タイヤのグリップが中々利かなくなります。
ですからS級上位のトップ級の選手には、前残りが多くなる不利な季節です。
話は少し逸れますが、今や若手の急先鋒といえる「佐藤励」選手。
2024年は開催をすべて1位で優勝する完全優勝を3度連続し、14連勝も達成するほどのその急成長ぶりを見せつけました。
しかし、オートレース界の一大イベントである「スーパースター王座決定戦」通称SSには出場することができませんでした。
※前座のG2クラスの平尾昌晃杯では前年に続き2連覇を達成しました。
因みにSS王座決定戦には16人が選ばれますが、各競技場でのポイント1位かSGやプレミアムカップでの優出(決勝戦)ポイントを獲得することが最低条件です。
佐藤励選手は、6回あるチャンスで一度も優出できず、ポイントすら獲得することができななかったのです。
特に好調に戻った11月の日本選手権での反則妨害は残念でした。
賛否ありますが、SS最後のチャンスである優出がかかったあのチャレンジは仕方ないかなっと思っています。
無理しちゃったな…と思いましたが
あれは反妨しなきゃ抜けない前2車の位置関係でした…
逆に言えば、夏の間にSSポイントをゲットしておけば、あれほど強引な反則妨害はしなかったのかもしれません。
後に佐藤励選手は、2025年新春インタビューでこう述べています。
結果タイヤが大きかったです。
オッズパーク
夏場は良いタイヤが見つからなくて、10月くらいからのタイヤが毎年良いんです。
なので、10月に買うタイヤの本数は増えます。そこから良いタイヤに当たり始めて結果に繋がってるという感じ。
なので、今は良いタイヤを夏場まで取っておこうという作戦をとっています。
来年の夏場に向けた対策、戦いは始まってます!
勝ちたいから基本的に良いタイヤはどんどん使ってしまうんですが、年間を通してと考えた時に来年に向けたタイヤの準備はしていこうと考えるようになりました。
タイヤは当たりハズレが大きいパーツです。
当たりタイヤは、ここぞという場面に取っておく選手が大半のようですね。
上でも言いましたが、特に夏の準決や優出時のインタビューでのタイヤの質問には重要な要素が隠れているので選手のコメントには注視しておきましょう。
オートレース整備違反の罰則は厳しい?

マシンの整備には細かくルールが決められています。
整備違反をすると厳しい罰則があり、違反すると長期の斡旋停止になってしまいます。
オートレーサーは、レースに出場して賞金を稼がなければ収入がありません。
有名な話だと、川口所属の当時トップレーサー「福田茂」選手が2006年に整備違反で3年間の長期斡旋停止処分になりました。
正確な事実はJKAや運営から発表がありませんが、色々な噂を総合すると燃料に添加物を入れて走行能力をアップさせていたことが原因のようです。
因みに、福田選手は引退せずに3年後に復帰して2016年まで選手登録されていました。
また、同じ時期に絶対王者として有名な伊勢崎所属の「高橋貢」選手も、整備違反で処分されています。
何でも、昔はOKだった古い部品を使ったことによるものだったようです。
当時の新聞を紹介しているブログなどによると、飯塚オート「SG第10回オートレースグランプリ」2日目の最終車両確認検査でフロントエンジンに取り付けられている動力伝達用の歯車である「フロントドライブスプロケット」が、旧タイプの部品ではないかと指摘され、レース実施され5着になったそうです。
翌日、高橋選手立会いのもと「競走車構造基準」に違反する事実が認められたため、同選手は即日斡旋解除となりました。
高橋貢選手の場合は、前日検査と当日の直前検査では合格となっていて、その部品を使っても早くなるわけではないことがわかり、1か月ほどの斡旋停止で済んだようです。
興味があれば、当時の選手や関係者の声などもネットではたくさん拾えます。
当時は、情報があまり表にも出なかったので情報が錯綜して、変な憶測も飛び交っていたみたいです。
しかし、前日や直前車検にも通っていて福田選手とは事の重大さが違うので、概ね”うっかりミス”で問題ないことで収束していった模様です。
すべてのオートレーサーは、定められたレギュレーションの範囲内で整備をしないとレースが成立しません。
整備違反は、順位に直結するのでオートレースだけでなく競艇や競輪でもとても重い罰則です。
結局オートレースは「試走」が一番重要なポイント

オートレースの予想をする上でのバイクと整備についてお話しました。
- バイクは自前で購入
- 整備は自分で行う
厳しいレギュレーションの元でさまざまな部品交換があるものの、それ自体を深く知る必要はありません。
しかしタイヤは重要なので、どういうタイヤを使うのかは注目しましょう。
以上を踏まえた上で、レース予想をする際に最も大事なことはレース直前に行われる「試走」です。
- 競馬ではパドック
- 競輪では連携確認のための顔見せ走行
- 競艇では展示
そしてオートレースでは試走タイムがが超重要です。
ハッキリいって、他の競技とは重要度がケタ違いです。
部品交換という過程を重視しないのも、試走という結果があるからこそ。
オートレースでは試走の全力走行が義務付けられています。
もし良走路で試走タイムよりレースタイムが速いといった矛盾が生じたら、「タイムアップ」という罰則規定があるほどです。
3着以内に入着し、雨天等走路状況の変化又は相当の理由がなかったにもかかわらず、競走タイムが試走タイムより良かった場合は、その節及び次節のあっせん停止。
単独走行より抜きつ抜かれつの集団走行の方がタイムが落ちるのが普通だからです。
- レース直前の試走タイムをみて
- 選手のハンデ位置を確認して
- 選手のスタート力を比較する
これがオートレース予想の基本です。
スタート巧者の意味や当て方はこちらの記事を参考にしてみてください。


あれ、それならば試走タイムが分からない前売りでは予想できないの?
そんな疑問を感じた方もいるでしょう。
はい、残念ながらその通りです。
選手の格やスタート力で、ある程度の予想は可能ですが、あくまで参考程度。
スポーツ新聞や専門誌も当然試走は分からないので、スタート予想しかあてになりません。
たまにスポーツ紙で「万車券的中」とありますが、実は本命だったのに試走が悪かったからオッズが上がってた、なんてこともザラです。
所詮は、結果論です。
ちなみに本場にいる予想屋さんは、もちろん試走が終わってから予想を販売します。
下記の動画のような予想屋さんが各レース場の色々な場所で予想されています。
画像は今は無き船橋オートで有名な予想屋さんです。
余談ですが、昔は試走タイムも公表されなかったので試走タイムも予想屋さんからかっていたそうです。
レース毎にたびたび試走を確認しないと予想もできない。
これはオートレースの弱点ではあります。
しかしネット中継もさかんですし、ライブ感覚を楽しむと前向きに捉えてください。
試走タイムが前日より伸びた要因の多くは、整備やタイヤによるところが大きいです。
今回予想が外れた原因はなんなのか?を考えると、次回の予想に繋がっていきます。

まとめ
いかがでしたでしょうか。
バイクと整備の観点からの、オートレース予想の紹介は以上になります。
知らなくても大丈夫みたいな話ばかりだと思うかもしれません。
しかし、前日や直前インタビューでの整備内容やタイヤ選択などには、いろいろなヒントが隠されていることが多いです。
キャブ調整だけでも翌日の試走タイムには劇的な変化があることもあります。
そういった早くなった理由だと思われるサインは大きな要素になるかもしれません。
これ以外にもハンデ位置やスタート力、天候といったさまざまな要素があります。

もし興味を持たれましたら、一度レースをみてください。
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