すべての公営競技には、選手になるための選手養成所があります。
公営競技は一流選手になると大金を稼げるので、どの競技もなりたい人が多く合格率は相対して相当低いです。
養成所の入所試験に合格すると約1年間、教官にみっちり鍛えられ、苦楽を共にした同期の絆は必然的に強くなります。
オートレーサーになるためにも、オートレース選手養成所(茨城県下妻市)があり、苦楽をともにした同期の結束力は当然のように固いです。
そのオートレース同期の中でも有名なのが「25期」。
ファンの間でも25期は「花の25期」と呼ばれています。
圧倒的人気の元SMAP森且行選手や、常にS級上位ランクの永井大介選手などが25期の同期です。
でも二人だけでは「花の25期」とは言えませんよね。
「花の25期」と言われる理由は、強い選手や個性的な選手が揃っているからです。
オートレースに少しでも興味を持った方は、同期の繋がりから入ることをおすすめします。
私は実際に25期の選手に興味を持ち、他の同期の選手も知りたくなりました。
25期でなくても知っている選手から同期の選手を知るのが、選手を知る近道だと思います。
そして、実際にレース場へ行って応援したくなりますよ。
この記事でわかること
- 「花の25期」全メンバーの紹介と基本情報
- 「花の25期」と言われる理由は?強くて個性的な選手が多いから
- 「花の25期」こんなところに注目してみよう
この記事を読むだけで、「花の25期」がどんな同期なのかがよくわかるはずです。
今も第一線で活躍している選手が多いので、ぜひ興味を持ってみてください。
オートレーサー「花の25期」全メンバーの紹介と基本情報
オートレーサーの25期は、863名の応募者の中から合格した32名です。
1996年6月に養成所に入所し、10ヶ月の訓練を受け、1997年4月に選手登録をしました。
この項では、25期について基本情報をお伝えします。
※2022年8月末日までの情報です。
- 25期全メンバーの紹介
- 船橋オートレース場からの移籍
- 引退・殉職選手
25期全メンバーの紹介
まずは一気に全メンバーを紹介しましょう。
名前のリンク先は公式サイトの個人紹介ページです。
紹介動画や通算成績、ランキングポイントや直近の成績などが掲載されています。
氏名 | LG | 出身地 | 生年月日 | 趣味 |
---|---|---|---|---|
浅野浩幸 | 浜松 | 東京都 | 1973年11月22日 | 旅行 |
有吉辰也 | 飯塚 | 宮崎県 | 1976年3月17日 | ゴルフ |
安東久隆 | 山陽 | 福岡県 | 1976年11月27日 | 他の趣味 |
岩崎亮一 | 山陽 | 福岡県 | 1976年1月6日 | マリンスポーツ |
岩沼靖郎 | 伊勢崎 | 群馬県 | 1976年12月10日 | サッカー |
遠藤誠 | 浜松 | 東京都 | 1974年12月15日 | ゴルフ |
越智尚寿 | 飯塚 | 福岡県 | 1973年10月9日 | なし |
片岡信之 | 浜松 | 愛知県 | 1975年7月7日 | 他のスポーツ |
北渡瀬充 | 伊勢崎 | 群馬県 | 1975年5月16日 | ゴルフ |
斎藤撒二 | 川口 | 東京都 | 1977年12月19日 | 他のスポーツ |
猿谷敦史 | 伊勢崎 | 群馬県 | 1975年12月5日 | テニス |
滝沢健 | 伊勢崎(元船橋) | 埼玉県 | 1971年9月15日 | 音楽鑑賞 |
相馬康夫 | 川口 | 栃木県 | 1975年1月30日 | ラジコン |
竹本修 | 伊勢崎 | 群馬県 | 1974年9月10日 | ゴルフ |
谷津圭治 | 伊勢崎(元船橋) | 東京都 | 1977年12月24日 | 他の趣味 |
戸塚茂 | 浜松 | 静岡県 | 1975年7月1日 | ゴルフ |
中野光公 | 伊勢崎 | 群馬県 | 1973年12月17日 | ゴルフ |
永井大介 | 川口(元船橋) | 東京都 | 1977年1月23日 | ゴルフ |
西村昭紀 | 飯塚 | 福岡県 | 1974年5月29日 | ゴルフ |
西村龍太郎 | 山陽 | 山口県 | 1976年2月17日 | スノーボード |
東小野正道 | 飯塚 | 福岡県 | 1974年4月4日 | スポーツ観戦 |
深沢悟 | 伊勢崎 | 群馬県 | 1976年2月21日 | ゴルフ |
福永貴史 | 山陽 | 山口県 | 1974年10月20日 | モータースポーツ |
福村唯倫 | 川口(元船橋) | 埼玉県 | 1974年4月6日 | 野球 |
宮地朗 | 飯塚 | 福岡県 | 1976年6月23日 | ウォーキング |
森且行 | 川口 | 東京都 | 1974年2月19日 | 旅行 |
谷島俊行 | 川口 | 埼玉県 | 1975年11月15日 | テレビゲーム |
若井友和 | 川口 | 埼玉県 | 1974年2月16日 | ゴルフ |
船橋オートレース場からの移籍
現在のオートレース場は、伊勢崎、川口、浜松、山陽、飯塚の5場ですが、以前は船橋がありました。
船橋オートレース場は、売り上げの減少、施行者である千葉県と船橋市の意向、その他様々な大人の事情により、2014年に廃止の方針が発表されてしまいます。
当時、選手会船橋支部長の永井選手は存続のため署名活動を行ったり、19期梅内幹雄選手は船橋市議会議員選挙に当選し、オートレース場の存続を訴えたりと、選手もファンも精一杯の抵抗をしました。
しかし、2016年3月31日に廃止となり、船橋所属選手は移籍を余儀なくされたのです。
上記の表の「(元船橋)」とは、元々は船橋所属の選手という意味です。
25期の引退や殉職した選手
現在25期は28名ですが、養成所入所時は32名いました。
引退選手は、菅野澄夫選手(山陽:2009年)、石井剛選手(船橋:2013年)、柳泰樹選手(伊勢崎:2015年)の3名です。
永井秀樹選手(飯塚:2009年)は、残念ながらレース中に殉職してしまいました。
伊勢崎所属の岩沼選手は以前、「スミオロメン」という名前の競走車で走っていたことがあります。
岩波選手と菅野選手は所属が違っていても親友だったそうで、菅野選手に車名の相談をしたところ『スミオロメン』と答えたそうです。
当時、レミオロメンが「粉雪」などのヒット曲で人気だったこともあるようですが、車名にしてしまうほど仲が良かったのですね。
「花の25期」と呼ばれる理由は?強くて個性的な選手が多いから
「花の25期」と呼ばれる理由はなぜでしょうか。
それは、強くて個性的な選手が多いからです。
この項では、もう少し詳しくお伝えします。
- 他の期と比べて強い
- 個性的で華がある選手が多い
25期は他の期と比べて相対的に強い
他の期と単純に比較してみました。
獲得総数2番目の23期は、浦田選手と池田選手で66回のグレードレースを獲得しています。
25期の場合は永井選手と有吉選手で76回、さらに他の選手も獲得しているので、一番多い獲得総数になっています。
これらのことから、25期は他の期と比べても強い選手が多いことが分かります。
わかりやすいように前後の期で比べてみます。
期(人数) | SG獲得人数 | GⅠ獲得人数 | GⅡ獲得人数 | グレードレース獲得総数 |
---|---|---|---|---|
23期(20名) | 2 | 8 | 8 | 92 |
24期(23名) | 3 | 6 | 6 | 47 |
25期(28名) | 4 | 11 | 7 | 109 |
26期(22名) | 1 | 9 | 7 | 70 |
27期(25名) | 2 | 5 | 6 | 39 |
その期に、SGを勝ち取れるトップスターが一人現れるかどうかのオートレース界、25期の総合的な実力は、前後の期を比べてみても一目瞭然ですよね。
「華の25期」対決の企画レースが実際にあった
オートレースは、他の公営競技と違いハンデ戦がメインです。
ハンデ戦の良さは、実力が違っていてもいろいろな対決が見れること。
そして、オートレースでは興味深い「企画レース」をたまに見ることができます。
過去には、苗字が鈴木ばかりを集めたオール鈴木さんの「鈴木選抜」が浜松でありました。
因みに、オートレースのバイクメーカーもスズキのSEAR(セア)で本社は浜松です。
鈴木選手の筆頭といえば鈴木圭一郎選手(浜松)です。オートレース界でも青山周平選手と並び2トップの実力なのはご存じの通り。
普通に対戦しても、他の選手はかないませんが、ハンデがあるので浜松のレジェンド75歳を超えてなお現役で鈴木章夫選手と対戦もできます。
なお、鈴木章夫選手は、75歳363日の公営競技全体での史上最年長勝利記録も現在更新中です。
この企画レースは、マスコミでも話題になり思惑通りにニュースや地上波でも紹介されました。
話は逸れましたが、企画レースの一つとして2020年に川口オートレース場で「華の25期対決」があったのです。
本当の意味での「花の25期」ではなく川口の選手が中心ですが少し話題にもなりました。
こちらがそのレース動画。
気になる結果は、動画でも確認できます。
25期は個性的で華がある選手が多い
25期のトップレーサーは誰がどう見ても、永井大介選手です。
因みに永井選手は、SG優勝回数15回を誇り、オートレースの最優秀選手賞を3回受賞しています。
※2022年8月30日現在
実績では永井選手にかないませんが、筆者の私が思う25期で華のある選手を3人紹介します。
若井友和選手は25期の中で一番のムードメーカー
若井選手は25期の中で一番のムードメーカーです。
明るく元気でサービス精神旺盛なところが、ファンに好かれるところでしょう。
競走車名の「モエルトウコン」「アントキノワカ」から分かるように、アントニオ猪木氏の大ファンであることは有名です。
選手紹介のときには「元気ですかー!」とパフォーマンスをしてファンを盛り上げます。
最近では、若井選手の顔とセリフが印刷されたTシャツを、他の選手に勝手に作られてしまうなど、周りの選手からイジられているようで、ファンのみならず仲間からも愛されています。
有吉辰也選手は内に秘めた強さが魅力
ゆっくりとお話をする有吉選手は、レースに勝ちたいというガツガツさは表には出ません。
飄々(ひょうひょう)としていながら、強いところが魅力です。
今では歳も重ねて落ち着いていますが、若い頃は変な格好をして、普通にインタビューを受けるといったユーモアもよく見かけました。
アーティスティックな一面があり、自宅のアトリエで、自分がデザインしたステンドグラスを製作するシーンを披露したことがあります。
森且行選手はアイドルから夢を実現させた選手
華があるといえば森且行選手です。
最も歴史と格式がある日本選手権で2020年に優勝したのがマスコミで大々的に報道されました。
これが森選手の初SG制覇。
初のSG制覇が一番実力が試される日本選手権というのも華がありますね。
そんな森選手は2021年に落車事故に遭い、現在はリハビリと、復帰に向けての練習走行を行っています。
メディア等で報道されていますが、とても酷い事故で、5度目の手術で250gのボルトがやっと取れたと話していました。
有吉選手は、大怪我から最近やっと以前のようなレースが出来るようになりました。
また、23期池田政和選手は1年8ヶ月かかって復帰、そして7月25日伊勢崎でのレースでは完全優勝を果たしています。
このように、数年かかっても大きな怪我から復活できる前例があります。
森選手には焦らず、前に進んでほしいと思います。
「花の25期」こんなところに注目してみよう
25期ももうベテランの部類に入り、レースの他に選手会の支部長を務めたり、弟子を教育したりするようになりました。
以下の視点から選手を見ると、親しみが湧くかもしれません。
- 師弟関係
- SNSをやっている選手
オートレースには師弟関係がある
オートレースでは、新人選手を弟子として迎え、教育をするという「師弟関係」があります。
今では、25期の半数近くに弟子ができました。
川口の斎藤選手のお弟子さんの上和田拓海選手(34期)はすでにS級、福村選手のお弟子さんの中山光選手(32期)は A級の上位にいるなど、お弟子さんたちも着々と育っているようです。
ちなみに、有吉選手のお弟子さんは中尾貴志選手(31期)ですが、飯塚オートのロッカーに、他に3人「たかし」がいるので、「ミノル」と呼ばれています。
名付け親は26期篠原睦選手で、「ミノル」と読んでいることをご両親も了承済みだそうです。
SNSやブログから親しみが芽生える
オートレーサーでSNSをやっている方は少ないです。
25期では以前、遠藤選手や森選手もやっていましたがやめてしまいました。
因みに森選手には、公式サイトがあります。
現在では、岩沼選手のツイッターと東小野選手のブログくらいでしょうか。
東小野選手のブログ歴は長く、2006年時点で「ブログを再開した」と書いてあるので、もっと前からやっていたようです。
ちなみに、東小野選手は基本的にインタビューなどのメディアが好きではありません。
しかしファンには神対応で、「ブログ見てます」と言うと笑顔で喜んでくれます。
まとめ
この記事は以上になります。
- 25期の全選手の基本情報や船橋からの移籍、引退選手について
- 「花の25期」と呼ばれる理由は、強い選手、個性的な選手が多いから
- 25期は、弟子の教育やSNSもやる
いかがでしたか。
25期について少し親しみを持てましたでしょうか。
西村龍太郎選手は森選手が日本選手権で優勝した後に、オッズパークのインタビューでこう答えています。
「『花の25期』は、花が森、永井、若井、有吉。茎が岩崎、越智、東小野。葉っぱが自分を始め残りの全員ですね(笑)。 同期の頑張りはやっぱり刺激になりますね。」
レースで同期が一緒に走ると、バチバチに意識して実力以上が発揮されるのかワンツーフィニッシュという結果になることが多いです。
また、実力的には劣っていても同期には絶対に抜かせない(捌けない)ような走りをすることが25期に限らず同期では日常茶飯事。
出走表を見るときにそういったことも考慮してみてください。
本当に同期2人が着順に絡むと、自分の推理が当たったんだとオートレースの深みや面白さも増すことでしょう。
また、オートレーサーとは身近に交流することができるのです。
イベントでサインをいただいたり、そのときに一言お話ができたりします。
25期はグレードレース常連レーサーが多くいるので、まずは25期から選手を知り、それから師弟関係や整備仲間などを知っていくと、さらにオートレースを楽しめると思います。
そして、ぜひレース場へ足を運んで耳をつんざくような爆音を体験してみてください。
25期がオートレース養成所の思い出を語る番組が以前あったそうです。
YouTubeに上がっていたので紹介して終わりにしたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
コメント